パルグリーンの考え方の原点とは
誰が見ても駐車場とするのでなく、駐車場だったんだと思わせたり、目隠しも隠す機能と思わせるのでなく、目隠しになっていたんだといった感覚です。
機能だけのデザインだったら飽きてしまうし、時間が汚れや傷みに変わっていきますが、そこに情緒や生命感などをデザインしていくと、時間が味や魅力に変えてくれます。ここが重要なところで、暮らしのストーリーがあるのです。
人の生活は日に日に便利になっています。その中の重要な機能は刻一刻と刻む24時間の時間であります。
どうでしょうか?
自然も人も時間の中で生きている
最近の利便性が高まるにつれ、今までになかったストレスや社会問題も起きてこないでしょうか?
昔こんなことなかったのにとか昔はよかったわね!
など、利便性と人間の関係が実は窮屈になっているのかもしれません。
逆に自然も時間で生きていますし、昔の人もおおざっぱですが時間の中で生きてきました。しかし現代のようなストレスは大半の方は多分感じてはいなかったのではないでしょうか?
現在を上手に生きるのに、便利な時間だけではなく、もっと人にやさしく変化のある時間も必要なのではないでしょうか?
人の時間と違う時間の世界で生きている
植物は太陽が上がると目を覚まし光合成を始めきれいな空気を提供してくれます。そして夕方になると休む準備をし、そして暗くなると眠ります。しかも自然な風に心地よく揺られ、雨が降るとおいしい水分をお腹一杯吸い上げ、寒くなると葉を落とし冬の準備をしたり、なんか人の時間と違う時間の世界で生きているのです。そのような世界に生活を近づけると、意外にも安らげたり、リラックスできたりします。海岸で海を見ていても、山で森を見ていても、とっても心が洗われるような気持になるのは不思議な感覚です。
庭物語が繰り出す展開
住宅の外部、俗にいうエクステリアの世界こそ、ここに住む人間を機能だけではなく、精神面でも支えていく重要な役割を担っているのです。そう、そこにはその家族の物語があり、それがアルバムになり、そして思い出になっていくのです。
つまりは利便性や安全面などの機能性が充実した建物に住むには、自然な時間が流れる空間がないと、疲れてしまい癒されないのです。
私たちが創造するエクステリアの世界は、単純なデザインの世界ではなく、生活の延長とそこに安らぎとコミュニケーションを与えるものと考えております。
この情緒あふれる空間や繰り返されるストーリー(庭物語)のシナリオ展開がこの概念では特に重要で、パルグリーンが最も得意としているところです。
住まうということに始まり、新たなライフスタイルや美しい景観の中で暮らしたいという要望に的確にお応えしていきます。
山本康生プロフィール
1955年小樽生まれのランドスケープアーキテクト。
建築家 故吉村 順三氏が好んだ造園家 後藤由松氏の門下生となり、文化建築や数奇屋風住宅の景観づくりに従事。1985年、環境デザインや商業施設の空間デザイン会社、株式会社パルグリーンを設立し、大阪花と緑の博覧会、三井東芝館(奈良)、新七草の彩る街(埼玉)、リフレの森などのランドスケープデザインを手がけ、グッドデザイン賞、さいたま市都市景観賞などを受賞。また、海外ではセントマーチンアイランドホテル景観計画、ナンシー日本庭園計画、ロスアンジェルス茶庭計画なども手がけ、ゴールドナゲット賞を受賞。
最近では街づくりの総合プロデューサーとして、資産価値が上がる街づくりを目指している。従来とはまったく違う「暮らしかた」中心の建築や、その暮らし方の提案にも定評があり、講演活動も全国的に展開。「オープンエアな暮らし」をテーマに建築も含めたライフスタイルを提案している。
2010年、ランドスケープ事業を独立させ、株式会社 結ランドスケープデザインを設立。街並デザイン以外にも、高齢者向けのシニアリゾートや総合住宅展示場などのデザインも多く手がける。2006年エクステリアハンドブック監修 業界新聞などにもコラム執筆
2010年、「流氷が啼くとき」でミステリー作家としてデビュー