4年前に施工したお庭のリニューアル工事で、前回の計画段階の出来事を思い出す。
敷地がいわゆる旗竿地で、そこに駐車場とアプローチエリアがあり、一般的には庭などを計画することが難しい敷地構成となっていた。
さらに建築計画での下屋柱などの存在がまるで細い神社の鳥居を潜るような印象を持ち、そこに玄関ポーチが計画されていたので狭い敷地がさらに狭く感じさせる物で建物を華奢に見せてしまう計画であった。

自分の考えでは、ポーチは玄関ドアを開けたり閉めたりする機能だけで計画されている建築計画が多いが、いかに機能性の部分をデザインで消していき、機能性を感じさせない計画が良い計画だという考えがあり、そこで今回の建築計画のポーチ部分をこちらでデザイン変更し施工することになった思い出がある。
だいぶ印象が違い、建築自体を立派に重厚感を感じさせることができた。
住宅をデザインするときに重要な部分である。

それ以外は庭にしたいという依頼で、少し高級料亭のような、いわゆる路地風に計画できないか検討し、床の仕上げに自然石での “あられこぼし” という技法を採用した。

そこに “ナツハゼ” や “アオハダ” などを植栽し、下草に “シャガ” をメインに計画していった。ちょっとした宇宙感のある空間が完成した。

自然な庭木の手入れとリニューアル

今回はそれから4年が経ち、剪定と庭のリニューアルの依頼だ。
ポイントは自然な剪定技法と山野草での都心部でありながら自然感漂う空間の構築だ。
特に剪定は重要で一度間違った剪定をすると、繊細な雑木などは良さが失われてしまう。
難しい作業で伝統技術のあるところで学んだ経験が必要である。
決して安い植木作業をするところや経験のない高齢者の作業員には決してできる作業ではないし、そのようなところに依頼すると修復不可能になるケースも多く見られ、庭のタイプにより気をつけるポイントとなる。
まず剪定作業から始めるが、自然に見せるルールのもと思い切って切り詰めることが重要だ。

また、その空間にあったスケールでの剪定計画も必要で、ポスト周りは邪魔な枝は思い切って切り詰め、路地の側面は施工時の状態にいかにもどすかがポイントとなる。
そして、地面に植わる地被植物の整理と山野草の植え付けだ。
日本人の好きなひかえめな味わいの植物の選定

植える山野草は、春物を中心に都心部でも比較的強い種類を選んでいる。
花も可憐で日本人には好きなちょっとひかいめな美しさや可愛さがある。
地窓周りにも、直裁部分があり、建物内部から確認しながら植えつけていく。
最後に植え付けや掃除が完成すると水やりで完成となる。
都心部でもこのような庭や植物が増えると嬉しい限りだ。